ライム〜あの日の先へ
「おにいの言う通りだと思う。
零次くんは自分も母子家庭で育って苦労をしたから、きっと凛のことを幸せにしたいって色々悩んで無理してしまう。
でもね、今の零次くんは社長として社員の人生まで背負って頑張ってる。しかもずっと憧れていた一条のご令嬢と結婚して、子どもまで恵まれてる。
凛の存在はそんな順風満帆な零次くんの人生にプラスになるとは思えない。
そもそも存在を知らなければ、凛のことで悩まなくていいでしょ。
凛だってハルトくんのパパと自分のパパが一緒だなんて知れば混乱するし、ハルトくんを恨んだりするかもしれない。
だから今のままが最善。
おにいには迷惑かけてごめんなさい」

「わかった。
まずは病院探しだな。それから病院に通いやすいところに引越し。鈴子の仕事はそれから探せばいい。
とにかく、凛を第一に」

鈴子の変わらぬ決意を見て、一成はすぐにパソコンに向かった。

零次の性格を考えれば、懐かしさから鈴子にコンタクトを取るだろう。その前に消えてしまえれば、ベストだ。

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