ライム〜あの日の先へ
零次のいいわけ
※※※
結局、鈴子のことばかり考えて零次はよく眠れぬままに朝を迎えた。
頭はぼんやりしている。それでも仕事に行かなければならない。
顔を洗ってスーツに着替えながらなんとか頭を仕事モードへと切り替える。
マンションを出て車に乗り込んで、いつものようにビジネスバッグを運転席と助手席の間に置こうとして、気づいた。
ピンク色の可愛らしいキャラクターの絵柄の水筒がある。
そうだ。
昨日、鈴子に渡そうとして地面に落としてしまった。鈴子は急いで病院に入ってしまって、結局渡しそびれたのを拾っておいたのだ。
鈴子のことばかり考えていて水筒のことはすっかり忘れていた。
零次は水筒を手に取る。壊れてはいないようだ。
ーーあとでプリスクールに届けておこう。
「……?」
手にした水筒の側面。ひらがなで書かれた名前に気づいた。
[もちだ りん]
もちだ…?
望田、だよな。
名字、変わってないのか?離婚したのか?
せっかく仕事モードに切り替えたはずの頭が再び鈴子でいっぱいになる。
どうにも落ち着かず、零次はバッグからスマホを取り出して琴羽に確認のメッセージを送った。
『昨日のお嬢さんは大丈夫だった?』
『入院しました。経過は良好のようです』
すぐに琴羽から返信が送られてきた。
スマホで今日のスケジュールを確認する。
午後からなら時間が取れそうだった。
ーー忘れ物を届けに行くのが目的だ。お嬢さんが入院したならプリスクールは休んでいるかもしれない。その時は誰かスタッフに預ければいい。
自分にそう言い聞かせながら、車のエンジンをかけた。
結局、鈴子のことばかり考えて零次はよく眠れぬままに朝を迎えた。
頭はぼんやりしている。それでも仕事に行かなければならない。
顔を洗ってスーツに着替えながらなんとか頭を仕事モードへと切り替える。
マンションを出て車に乗り込んで、いつものようにビジネスバッグを運転席と助手席の間に置こうとして、気づいた。
ピンク色の可愛らしいキャラクターの絵柄の水筒がある。
そうだ。
昨日、鈴子に渡そうとして地面に落としてしまった。鈴子は急いで病院に入ってしまって、結局渡しそびれたのを拾っておいたのだ。
鈴子のことばかり考えていて水筒のことはすっかり忘れていた。
零次は水筒を手に取る。壊れてはいないようだ。
ーーあとでプリスクールに届けておこう。
「……?」
手にした水筒の側面。ひらがなで書かれた名前に気づいた。
[もちだ りん]
もちだ…?
望田、だよな。
名字、変わってないのか?離婚したのか?
せっかく仕事モードに切り替えたはずの頭が再び鈴子でいっぱいになる。
どうにも落ち着かず、零次はバッグからスマホを取り出して琴羽に確認のメッセージを送った。
『昨日のお嬢さんは大丈夫だった?』
『入院しました。経過は良好のようです』
すぐに琴羽から返信が送られてきた。
スマホで今日のスケジュールを確認する。
午後からなら時間が取れそうだった。
ーー忘れ物を届けに行くのが目的だ。お嬢さんが入院したならプリスクールは休んでいるかもしれない。その時は誰かスタッフに預ければいい。
自分にそう言い聞かせながら、車のエンジンをかけた。