ライム〜あの日の先へ
「あれ?五嶋くん?」
不意に声をかけられて顔をあげた。
白衣姿で手にコンビニの袋を下げた水上医師の顔にハッとなる。
「水上さん、ご無沙汰してます」
水上とは以前ハルトの誕生日会で会った顔見知りだった。
「昨日、凛ちゃんを運んできてくれたときに五嶋くんをチラっと見かけましたよ。今日はどうしたんですか?」
「あぁ、忘れ物を届けに来たんです。あのあとお子さんがどうなったか気になって」
水上医師はうんうんと大きくうなずいた。
「凛ちゃんなら、すぐ退院できると聞いています。病室、ご案内しましょうか」
「あ、いや。えっと………お願いします」
一瞬のためらいも、水上の優しく穏やかな笑みで消えていく。水上は不思議と人を安心させる雰囲気を持っている。
ーー単に、忘れ物を届けに来ただけ。
思い出話が嫌だと言うなら、水筒を渡してすぐに帰ればいい。
自分の行動にそう言い訳をしながら、零次は水上医師の後ろをついて小児病棟へと足を入れた。
不意に声をかけられて顔をあげた。
白衣姿で手にコンビニの袋を下げた水上医師の顔にハッとなる。
「水上さん、ご無沙汰してます」
水上とは以前ハルトの誕生日会で会った顔見知りだった。
「昨日、凛ちゃんを運んできてくれたときに五嶋くんをチラっと見かけましたよ。今日はどうしたんですか?」
「あぁ、忘れ物を届けに来たんです。あのあとお子さんがどうなったか気になって」
水上医師はうんうんと大きくうなずいた。
「凛ちゃんなら、すぐ退院できると聞いています。病室、ご案内しましょうか」
「あ、いや。えっと………お願いします」
一瞬のためらいも、水上の優しく穏やかな笑みで消えていく。水上は不思議と人を安心させる雰囲気を持っている。
ーー単に、忘れ物を届けに来ただけ。
思い出話が嫌だと言うなら、水筒を渡してすぐに帰ればいい。
自分の行動にそう言い訳をしながら、零次は水上医師の後ろをついて小児病棟へと足を入れた。