ライム〜あの日の先へ
「すみません、今、名刺は持っていなくて。
昨日、凛を病院に運んでくださった方ですね。鈴子から聞いています。ありがとうございました」
彼女が一成と名刺を交換したがっていると察し、とっさに持っていないフリをした。
(あわよくば、凛の父などと勘違いしてくれればいい)
そんな考えが頭をよぎったからだ。
「いえ。鈴子先生は大丈夫ですか?昨夜もつきっきりだったみたいですし、少しでもお力になれたらと思って来たのですが……」
彼女の口ぶりから鈴子がシングルマザーだと知っている、と直感する。
彼女は鈴子の勤務するプリスクールの創業者で、しかもこの光英大学病院長の娘だ。情報を手に入れることは容易いだろう。
一成のことも知っているのかもしれない。それでも、自分からは兄だと明かさないほうが賢明だと思った。
彼女が得た情報は零次へと流れるはずだから。
昨日、凛を病院に運んでくださった方ですね。鈴子から聞いています。ありがとうございました」
彼女が一成と名刺を交換したがっていると察し、とっさに持っていないフリをした。
(あわよくば、凛の父などと勘違いしてくれればいい)
そんな考えが頭をよぎったからだ。
「いえ。鈴子先生は大丈夫ですか?昨夜もつきっきりだったみたいですし、少しでもお力になれたらと思って来たのですが……」
彼女の口ぶりから鈴子がシングルマザーだと知っている、と直感する。
彼女は鈴子の勤務するプリスクールの創業者で、しかもこの光英大学病院長の娘だ。情報を手に入れることは容易いだろう。
一成のことも知っているのかもしれない。それでも、自分からは兄だと明かさないほうが賢明だと思った。
彼女が得た情報は零次へと流れるはずだから。