ライム〜あの日の先へ
「そうか。じゃ、俺は戻る。
二人とも、長居はダメですよ」

水上はそう言って病室を出た。

その時。

水上の視界に廊下を小走りで去っていく女性の後ろ姿がちらりと見えた。

ーー凛ちゃんのお母さん?

仕事中毒の琴羽が気にかけるくらいだ。すぐ退院できるとはいえ、手続きやら何やら忙しいのだろう。
心のなかで『おつかれさまです』と声をかけ、水上は医局へと戻っていった。
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