ライム〜あの日の先へ
本物の恋。
琴羽に指摘されて、ストンと腑に落ちる。
「あぁ、そうだ。日本に帰ってきてからも、思い出すのは鈴子のことばかり。
琴羽に一条の力で業績不振な五嶋商事を救ってほしいと契約結婚を持ち出したときも、一成と鈴子の兄妹を救いたい気持ちが根底にあったからなんだ」
五嶋商事を立て直して、鈴子にもう一度会いたい。そしてあの日、別れ際に言えなかった好きの気持ちを、胸をはって告げたい。
鈴子はきっとあの日のまま待っていてくれる。バカみたいにそう思っていた。
「結婚してるならあの子の名前は望田のわけがない。
旦那は婿養子?いや、鈴子が望田の名字を残したいと考えるはずがない。
離婚したのか?それなら、あの子の家族だというあの男は?兄の一成なのか?
一成だったら聞きたいことがあるんだ。
どうして五嶋商事を辞めた?俺を見捨てたのか?親友だと思っていたのは俺だけだったのか?今どこで何をしているんだ?」
そうつぶやいて唇をぎゅっと噛み、拳をにぎりしめた零次。疑問と怒りとが胸の中を渦巻いて、体がわなわなと震えてしまう。
そんな零次の肩がトントンと叩かれた。
「なんだよ、琴羽?」
琴羽だと思って振り返った零次の視界に飛び込んできたのは、懐かしい旧友の姿だった。
「少し、お時間いただけますか」
記憶の中と変わらぬ一成の声は静かにそれでもはっきりと零次に届いた。
琴羽に指摘されて、ストンと腑に落ちる。
「あぁ、そうだ。日本に帰ってきてからも、思い出すのは鈴子のことばかり。
琴羽に一条の力で業績不振な五嶋商事を救ってほしいと契約結婚を持ち出したときも、一成と鈴子の兄妹を救いたい気持ちが根底にあったからなんだ」
五嶋商事を立て直して、鈴子にもう一度会いたい。そしてあの日、別れ際に言えなかった好きの気持ちを、胸をはって告げたい。
鈴子はきっとあの日のまま待っていてくれる。バカみたいにそう思っていた。
「結婚してるならあの子の名前は望田のわけがない。
旦那は婿養子?いや、鈴子が望田の名字を残したいと考えるはずがない。
離婚したのか?それなら、あの子の家族だというあの男は?兄の一成なのか?
一成だったら聞きたいことがあるんだ。
どうして五嶋商事を辞めた?俺を見捨てたのか?親友だと思っていたのは俺だけだったのか?今どこで何をしているんだ?」
そうつぶやいて唇をぎゅっと噛み、拳をにぎりしめた零次。疑問と怒りとが胸の中を渦巻いて、体がわなわなと震えてしまう。
そんな零次の肩がトントンと叩かれた。
「なんだよ、琴羽?」
琴羽だと思って振り返った零次の視界に飛び込んできたのは、懐かしい旧友の姿だった。
「少し、お時間いただけますか」
記憶の中と変わらぬ一成の声は静かにそれでもはっきりと零次に届いた。