ライム〜あの日の先へ
今年は空梅雨だと言われるほど6月は雨が少なかったが、7月に入ると毎日ぐずついた天気が続いている。
毎日のように厚い雲が空に垂れ込め、傘が手放せなかった。
「おはよう、いっせいくん!!」
そんな7月のある朝。一成が起きてくると、元気いっぱいの凛が駆け寄ってきた。
「みて、あたらしいカッパなの!」
フードをかぶればご丁寧にうさぎの耳までついたピンク色の新しいカッパを着てごきげんだ。
「可愛い!うさぎさんだね」
「うん!」
うさぎの真似をしてぴょんぴょん跳ねる姿が本当に愛らしい。
「おにい、朝ごはん出来てるからねー!凛、行くよー!」
今朝は鈴子たちのほうが早く家を出る。
「雨なら車で送ろうか?」
「新しいカッパ着たいって言ってるし、雨も小ぶりだから大丈夫。行ってきます」
「いっせいくん、いってきまーす」
鈴子と凛は手を繋いで元気よく出ていった。