ライム〜あの日の先へ
車の列がなくなりお迎えが一段落した。鈴子が園内に戻ると、凛とハルトだけが残っていた。
他の先生たちは片付けやデスクワークなど自分の仕事で手一杯。最後のお迎えを待つのはマイケルと鈴子の仕事だ。

「さっき、ハルトのグランマから連絡があって、迎えが遅くなるって。
スズコ、先に帰っていいよ。雨の中で車の誘導疲れたろ。おつかれさん」
「ありがとう、マイケル。マイケルこそ先に帰って。えみりさん、そろそろ臨月でしょ?」
「うん。準備はバッチリさ。でも…心配だから帰ろっかな。ごめん、スズコ。後、頼む」

そう言ってマイケルは帰っていった。
辞めるときにはきっと迷惑をかける。そう思ったら、少しでもマイケルに妻孝行してほしかった。

凛とハルトは楽しそうに遊んでいる。鈴子も日誌を書いたりデスクワークをこなしながらハルトのお迎えを待った。
だが時計は19時を回っていた。さすがに遅すぎる。緊急連絡先に連絡するべきかと悩んでいると。

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