ライム〜あの日の先へ
「福島さん、この後お時間ありますか?よろしかったら食事でもしながら、詳しいお話を聞かせていただけたらと思うのですが」
「あーすみません、俺、今日は息子の誕生日なんですよ。早く帰らないと。誰か、代わりに頼むよ」

福島が後ろに控えるスタッフたちを一人ずつ見る。誰もが急ぎの仕事を抱えていて、早く帰社したいと首を横に振る。

そんな中、一番離れた場所で後ろを向いて立っていた男性をスタッフたちが一斉に見た。

「望田なら詳しい説明ができます」
「今回のプロジェクトリーダーですから、望田が適任です」
「よろしく頼んだよ、望田」

スタッフたちが一斉に一成の背中をぽんと叩いた。

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