ライム〜あの日の先へ
凛の前で零次のことを確認することが出来ず、鈴子は一成が用意してくれたおかゆをただ口に運んだ。まだ上手く頭が働かずにぼうっとする。

すると。不意にキッチンから聞き覚えのある声がした。

「りんちゃん、コップどこ?」
「そっちじゃないよ、あっち」
「上?だっこしてあげるから教えて」
「アハハ、れいじくん、くすぐったいよ!」
「ごめんごめん、あぁ、ここか。ありがとう」

凛と零次の楽しそうな声だ。

「凛を驚かせて混乱させたくないから、父親と名乗る前に少しずつ距離を縮めたいって、零次のやつ帰らないんだ。
今日から父親だと知ったわりには凛のことをすごく考えて、やっぱあいつはすごいよ」

そういった一成も嬉しそうにしている。

ーー夢じゃなかった。



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