ライム〜あの日の先へ
「ママ!ライムジュースつくったよ!これのんだら、すぐげんきになるよね!」

キッチンからスーツのジャケットだけを脱いだワイシャツ姿の零次と凛が一緒に現れる。

「ママ、れいじくんだよ!ハルトくんのママのおしごとのおともだちで、いっせいくんともおともだちだったの!すごいよね!」

ライムジュースの入ったコップを鈴子に差し出しながら、凛が零次を紹介してくれる。

「ママとりんがだいすきなライムジュースもつくれるんだよ!びっくりしちゃった」

わずか数時間だと言うのに、すっかり打ち解けている様子。凛は大人の男性を怖がってしまう傾向があるのだが、この短時間にここまで仲良くなっているとは驚きだった。

「ありがとうございます。ご迷惑をおかけしてすみません」
「迷惑?何を言っているんだ。今日は最高の日だ。鈴子と凛ちゃんに会えた。親友も戻ってきた。泣きたいくらい幸せだ」

零次の瞳がまっすぐに鈴子を見つめる。
その愛情に満ちた優しい眼差しが鈴子の胸を高鳴らせる。

恥ずかしくて鈴子は目をそらし、コップに口をつけた。

酸っぱくてほろ苦いライムの味が口の中に広がる。一成が作るはちみつ多めとは違い、零次はライムの果汁多め。
懐かしい味だ。

「美味しい」
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