ライム〜あの日の先へ
鈴子は手にしたコップに目を落とした。
爽やかなライムの芳香が、遠い思い出を連れてくる。
物心ついたときから、兄の親友としていつもそばにいてくれた。世間から冷たい仕打ちを受けた時もいつも助けてくれた。
鈴子には彼のいない人生なんて、考えられなかった。だから別れたあの時は、これからどうやって生きていけばわからなった。
彼の残してくれた凛が鈴子を救ってくれた。凛は鈴子の宝物だ。その凛を第一に考えていかなければならない。
「あの頃はバカみたいに零次くんのことだけ考えてた。でも今、私はお母さんなの。もう、零次くんが好きでいてくれた以前の私とは違う。
お願い、時間をちょうだい。今、すごく混乱してる。私は凛のお母さんとして生きるんだって覚悟だったから。自分自身の気持ちなんてずっと向き合ってこなかった」
「うん。いいよ。今まで鈴子が頑張ってきたこと、少しずつ教えて?これからは俺にも分けてほしい。焦らなくて大丈夫。
たとえ鈴子が俺のことなんてもう好きじゃなくても、たとえ金銭だけの支援だけしか望まないと言われても、君たちと繋がっていられるならそれでもいい。俺からはもうこの手を離すことはない」
零次がきゅっと鈴子の手を握った。
鈴子の手などすっぽり包み込んでしまう大きな手のひらが懐かしい。
「ありがとう、零次くん」
爽やかなライムの芳香が、遠い思い出を連れてくる。
物心ついたときから、兄の親友としていつもそばにいてくれた。世間から冷たい仕打ちを受けた時もいつも助けてくれた。
鈴子には彼のいない人生なんて、考えられなかった。だから別れたあの時は、これからどうやって生きていけばわからなった。
彼の残してくれた凛が鈴子を救ってくれた。凛は鈴子の宝物だ。その凛を第一に考えていかなければならない。
「あの頃はバカみたいに零次くんのことだけ考えてた。でも今、私はお母さんなの。もう、零次くんが好きでいてくれた以前の私とは違う。
お願い、時間をちょうだい。今、すごく混乱してる。私は凛のお母さんとして生きるんだって覚悟だったから。自分自身の気持ちなんてずっと向き合ってこなかった」
「うん。いいよ。今まで鈴子が頑張ってきたこと、少しずつ教えて?これからは俺にも分けてほしい。焦らなくて大丈夫。
たとえ鈴子が俺のことなんてもう好きじゃなくても、たとえ金銭だけの支援だけしか望まないと言われても、君たちと繋がっていられるならそれでもいい。俺からはもうこの手を離すことはない」
零次がきゅっと鈴子の手を握った。
鈴子の手などすっぽり包み込んでしまう大きな手のひらが懐かしい。
「ありがとう、零次くん」