ライム〜あの日の先へ
「福島さんには以前から仕事でお世話になっていて、五嶋商事を辞めるときに声をかけてくれたんだ。お前には言わないでほしいって口止めしていた。あまりいい辞め方をしなかった手前、体裁が悪いって。
言ったろ?俺はどんなときもお前の味方だって。応援してるって。
福島さんのもとでコンサルとして一から修行した。やっと俺も一人前としてお前の前に立てる」

二人が久しぶりに握手をした。

「そのうち、義理の弟になるからな」
「お前が俺の義理の弟?気持ち悪いな。でも、五嶋商事社長が義理の弟なら、悪くないか。
せいぜい凛の機嫌取っておけ。嫌われたらおしまいだぞ」
「あぁ。努力する。
ありがとう、一成。ありがとう、鈴子。俺は今日から生まれ変わった気分だ。今ならなんでもできそうな気がするよ」

そう言った零次の瞳からは涙が一筋流れていく。一成の瞳も濡れていた。

そんな二人の姿を懐かしく見つめる鈴子の視界も涙で滲んでいた。


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