ライム〜あの日の先へ
「子どもたちが好きなアニメ映画に出てくる悪役のことよ」

そこへ現れたのは一条琴羽だった。琴羽の姿をみるなりスクール長が駆け寄る。

「琴羽さん、すみません。収集がつかなくなってしまいました」
「お疲れさまです、こちらは私が対応しますから、他のお子さんと保護者の方の対応をお願いします」
「わかりました。みんな、あとはおまかせして、行きましょう」

琴羽に指示を受け、ホッとした様子でスクール長は集まった子どもたちを連れてこの場を離れた。

「琴羽さん」

申し訳なさそうに頭を下げる鈴子に、琴羽は大きく頷いてみせた。

「ここは私に任せて。
さて。どういう状況かは、担当の保育士から聞きました」

「誰?」

「私?あなたの娘に泣かされたハルトの母ですけれど」

日菜と琴羽。向かいあって臨戦体制だ。

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