ライム〜あの日の先へ
「それだけじゃないわ。
望田鈴子は人殺しの娘よ?そんな人が先生だなんて。
その危険性、あなたわかってる?自分の大事な子どもを安心して預けられる?」

自分に勝機を持ってくるために、再び鈴子を罵倒する。だが、それも琴羽の相手ではない。

「危険性?そんなの感じたこともない。
見たでしょう?子どもたちは皆、鈴子先生の味方してる。悪役はあなたの方みたい」

「子どもは人殺しの娘だなんて理解できないから」

「だからこそ、子どもは人の本質を見ていると思うの。
一条グループでは、雇用の際にきちんと身元を調べるわ。鈴子先生のご両親のことももちろん知った上で採用しています。
ご両親の事件に関して鈴子先生は何も悪くない。被害者の娘でもあり加害者の娘でもある鈴子先生はきっとご苦労されたと思います。辛いことも苦しいことも全て乗り越えてきた鈴子先生は本当に強い。子どもたちを守って正しく導いてくれる力がある。だからこそ、子どもたちもこんなに懐いている。
みんな、鈴子先生のこと大好きだよね?」

子どもたちが口々に「鈴子先生好き」と声を上げ、キラキラの笑顔を見せてくれる。

鈴子はその笑顔に励まされる。

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