ライム〜あの日の先へ

凛の泣き声が聞こえた。
鈴子は子どもたちを保育士に預けてから凛を探した。


大泣きする凛が零次に抱っこされている。
その姿が親子にしか見えない。
鈴子は思わずぼんやりと眺めてしまった。

「鈴子先生」

そんな鈴子に琴羽が声をかけてきた。

「琴羽さん。ご迷惑をおかけしました。
……これからも私の両親の事件のことで不快に思う保護者の方がいらっしゃるかもしれません。
私、ここを辞めます。これ以上子どもたちにも嫌な思いをさせたくありません」

「どうして?この世の中、完璧な聖人君子なんていやしない。色んな人がいてどう受け入れて対処していくか。親も子も学ぶいい機会じゃない。
鈴子先生。今日の先生、かっこよかった。五嶋くんが惚れ込んでるのもわかるわ」

「そんな、やめてください。琴羽さんのほうが何万倍もかっこよかったです」

「度胸だけはあるのよ。
それにしても。あれ、誰がどう見ても親子じゃない。ふふ、笑った顔がそっくりだわ」

琴羽が零次と凛を指差す。凛は零次に肩車をしてもらってケラケラと笑っている。その凛の笑顔を受け、零次も満面の笑顔だ。

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