ライム〜あの日の先へ
凛がぶつかった衝撃で机上のライムの実がぽとりと落ちる。そのままコロコロと転がったライムを拾ったのは凛だ。
「いっせいくん、これ」
鮮やかな緑色のライムを差し出した凛を見て、一成は息を飲む。
忘れたい思い出が一気に蘇った。
小学生の一成が母親の凶行を目の前で見てから、一成にとって世界はモノクロになって時間が止まった。
あの時は鈴子が床に転がったライムを拾って一成に渡してくれた。
鮮やかな緑色のライムを差し出した鈴子が一成に無邪気な微笑みを見せたあの瞬間から、一成の新しい時間が動き出した。
ーーきっと、今も、止まった時が動き出す。あの日の先へと進んでいける。
「いっせいくん、これ」
鮮やかな緑色のライムを差し出した凛を見て、一成は息を飲む。
忘れたい思い出が一気に蘇った。
小学生の一成が母親の凶行を目の前で見てから、一成にとって世界はモノクロになって時間が止まった。
あの時は鈴子が床に転がったライムを拾って一成に渡してくれた。
鮮やかな緑色のライムを差し出した鈴子が一成に無邪気な微笑みを見せたあの瞬間から、一成の新しい時間が動き出した。
ーーきっと、今も、止まった時が動き出す。あの日の先へと進んでいける。