ライム〜あの日の先へ
凛はぴょんと零次の腕の中から降りると、社長席の椅子に座り、自分が背負っていたリュックから菓子を出した。
思いもかけない行動に鈴子は慌てる。

「凛、そこは座っちゃダメよ」

「ふかふかで、きもちいいイス!みて、くるくるまわる〜」

「凛!」

「構わないよ。りんちゃんが座った椅子だと思えば、明日からの仕事も楽しい。
りんちゃん、写真を撮らせてくれるかい?」

「いいよ!かわいくとってね」

零次はかわいくポーズを決める凛をスマホの写真に収めようと、社長席の前に立った。

凛の後ろ。日が暮れて暗くなった街に明かりが灯っている。
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