ライム〜あの日の先へ
「うっせーなぁ。悪いのは体調じゃなくて頭だろ。
あの子、わざと鈴子ちゃんを突き飛ばしたよなぁ。オレ、見てたぞ。
ヤマちゃん、どう見てもまずは下敷きになった鈴子ちゃんの手当てが先だろ?相変わらず頼りねぇなぁ」
突如、ギャラリーの後ろの方から大きな声が上がった。
よく知った声に、鈴子のチクチクと傷んでいた胸が一気に跳ねる。
声がした方を見れば、保護者の山をかき分けて姿をみせたのはやはり一成と零次だ。
真っ先に声を上げてくれたのは、零次。鈴子に背中を向ける格好で日菜の母から守ってくれた。
背中にドクロがプリントされた紫色のTシャツに黒のデニムと、いつも以上に派手な格好は中学生には見えない。
ーー見てて、くれてたんだ。
零次の背中を見ていると、日菜の母の勢いにのまれていた鈴子にみるみる力が湧いてくる。
自分にも守ってくれる、心配してくれる人がいる。一成と零次が頼もしい。
「ちょっと、あなたいきなり何なの!大人に向かってその口の聞き方は!」
「あの子のお母さん?
あのさ、まずは鈴子ちゃんの心配しろよ。あの子のでっけえ体に押しつぶされたんだよ、ヒザから血出てるじゃん。体操服も汚れちまって。
あの子は元気そのものだろ。体操服も真っ白、血色も良すぎるくらいだろ」
日菜の母に睨まれても、ひるまない零次。その姿に教師はハッと気づく。
「お前は吉田零次か…?なら、隣は望田一成か?お前たちいまだにつるんでいるのか」
ここにいた教師は一成と零次が小学校のときの担任だった。
あの子、わざと鈴子ちゃんを突き飛ばしたよなぁ。オレ、見てたぞ。
ヤマちゃん、どう見てもまずは下敷きになった鈴子ちゃんの手当てが先だろ?相変わらず頼りねぇなぁ」
突如、ギャラリーの後ろの方から大きな声が上がった。
よく知った声に、鈴子のチクチクと傷んでいた胸が一気に跳ねる。
声がした方を見れば、保護者の山をかき分けて姿をみせたのはやはり一成と零次だ。
真っ先に声を上げてくれたのは、零次。鈴子に背中を向ける格好で日菜の母から守ってくれた。
背中にドクロがプリントされた紫色のTシャツに黒のデニムと、いつも以上に派手な格好は中学生には見えない。
ーー見てて、くれてたんだ。
零次の背中を見ていると、日菜の母の勢いにのまれていた鈴子にみるみる力が湧いてくる。
自分にも守ってくれる、心配してくれる人がいる。一成と零次が頼もしい。
「ちょっと、あなたいきなり何なの!大人に向かってその口の聞き方は!」
「あの子のお母さん?
あのさ、まずは鈴子ちゃんの心配しろよ。あの子のでっけえ体に押しつぶされたんだよ、ヒザから血出てるじゃん。体操服も汚れちまって。
あの子は元気そのものだろ。体操服も真っ白、血色も良すぎるくらいだろ」
日菜の母に睨まれても、ひるまない零次。その姿に教師はハッと気づく。
「お前は吉田零次か…?なら、隣は望田一成か?お前たちいまだにつるんでいるのか」
ここにいた教師は一成と零次が小学校のときの担任だった。