ライム〜あの日の先へ
それだけ?本当に?
それだけで、こんなに優しく笑いかけてくれるの?
ロサンゼルスの夜景が一望できる最高にロマンチックなシチュエーションの中でキュッと手を繋いで。恋人の距離で。

「東京の夜景とは違う。オレンジ色がきれいだな」

残念ながら、今、零次の目に鈴子はうつっていない。ロサンゼルスの夜景に奪われている。

「東京の夜景は見たことがないな。どこかいいところあるの?」
「俺が見たことあるのは二箇所だけ。一つは下町にある有名な電波塔から。結構きれいだったよ」
「さては、カノジョとデートで行ったんでしょ」
「まぁね」

いつも、鈴子のことをさり気なくリードしてくれたり余裕のあるふるまいから、女の子に慣れていると思っていた。
五嶋の御曹司で、このルックス。モテないはずがない。

わかっているけれど、なんだかおもしろくない。

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