ライム〜あの日の先へ
「なぁ、今日のディナーはシーフードにしないか?」

しんみりしてしまった空気を変えようと、一成が明るく提案した。

「シーフード、大好き!」

「出たな、鈴子の『大好き』が。ダウンタウンに行きつけの店があるんだ。零次、シーフードは好きか?」

一成に尋ねられると、零次は笑顔で答えた。

「俺も、大好きだ」

それを聞いた途端、鈴子の心がトクン、とはねた。

『俺も大好き』

それが、鈴子に向けて発せられた言葉じゃないとわかっている。それでも、なんだかドキドキしてしまう。

これはいつもの大好きとは違う気がしていた。
零次の言葉、仕草、なにより笑顔が心のなかに残って離れなくなっていた。



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