ライム〜あの日の先へ
好きだと気づいたところで、特別な関係になりたいとは言えなかった。

望む関係は、今まで通り。

でも。

ーー今の関係ってなんだろう。
知り合い?
友達?
部下の妹?

鈴子は雑誌の写真をもう一度見る。

とてもじゃないけどこんな最上級の女性になんて、なれるわけがない。生まれからして違いすぎる。

ライバルにさえなれない。勝てるとしたら、今いちばん近くにいるということだけ。


じゃあ、それを最大限に利用しよう。
遠くない未来、零次か望田家かどっちが先になるかはわからないが、日本に帰ることになる。
きっと零次は出世して遠い存在になるだろう。
だから、今のうちにたくさんたくさん思い出をつくろう。楽しい思い出を。

LAの景色を見るたびに、鈴子の存在を思い出してもらえるように。





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