ライム〜あの日の先へ
それがある日。招かれたパーティで偶然、『御曹司』と『御令嬢』として出会った。
琴羽は零次の知る彼女とは恐ろしいほど別人だった。
生まれながらの御令嬢。品があり、ゴージャスで、きらびやかなオーラを身にまとっていた。各界の重鎮が顔を揃えたパーティで上手く立ち回る姿は、今でも脳裏に焼き付いている。
大学に通う目立たない学生の姿は世を忍ぶ仮の姿で、本来の琴羽は一条グループの中枢で辣腕を振るう優秀なビジネスマンだったのだ。
そのギャップに見事にやられた。
琴羽の仕草は指先一つまでが優雅で、品があった。まるで、物語のお姫様を見ているようだった。
それなのに窮地には驚くほどの身体能力と判断力を見せた。その護身術のスキルはプロのSP並み。
恐らく五嶋は息子をあんなふうにしたいのだろう。
だが、無理だ。いくら努力をしても零次にはとてもたどり着けるものではない。所詮付け焼き刃。公の場で上手く立ち回れずに、五嶋にも五嶋の正妻にも怒られてばかりだった。
「あの日以来、一条琴羽は俺にとって特別な存在になった。
琴羽の隣にふさわしい男になりたい。肩を並べて仕事ができると認められたい。
ただそれだけを胸に、がむしゃらに脇目も振らずやっている」
琴羽は零次の知る彼女とは恐ろしいほど別人だった。
生まれながらの御令嬢。品があり、ゴージャスで、きらびやかなオーラを身にまとっていた。各界の重鎮が顔を揃えたパーティで上手く立ち回る姿は、今でも脳裏に焼き付いている。
大学に通う目立たない学生の姿は世を忍ぶ仮の姿で、本来の琴羽は一条グループの中枢で辣腕を振るう優秀なビジネスマンだったのだ。
そのギャップに見事にやられた。
琴羽の仕草は指先一つまでが優雅で、品があった。まるで、物語のお姫様を見ているようだった。
それなのに窮地には驚くほどの身体能力と判断力を見せた。その護身術のスキルはプロのSP並み。
恐らく五嶋は息子をあんなふうにしたいのだろう。
だが、無理だ。いくら努力をしても零次にはとてもたどり着けるものではない。所詮付け焼き刃。公の場で上手く立ち回れずに、五嶋にも五嶋の正妻にも怒られてばかりだった。
「あの日以来、一条琴羽は俺にとって特別な存在になった。
琴羽の隣にふさわしい男になりたい。肩を並べて仕事ができると認められたい。
ただそれだけを胸に、がむしゃらに脇目も振らずやっている」