ライム〜あの日の先へ
「そんな……ひどい」

鈴子がポロポロと泣き出す。

「仕方ないさ。これが俺の宿命ってやつなんだ。
一週間猶予をもらった。最後に身の回りの整理と、ロサンゼルスにいられた記念に観光地を巡っておこうと思ってる。
一成、鈴子ちゃん、本当に世話になった」

零次は一成と鈴子に深々とお辞儀をした。それからいつもより翳った笑顔で鈴子を見た。

「鈴子ちゃん、色々ありがとう」

鈴子はそれまでずっと黙って聞いていた。
全てを諦めて悟ったような、疲れ切った零次の顔を最後に見た彼の姿にしたくなかった。


「まずドジャーススタジアムで野球観戦。ハリウッドからビバリーヒルズ、ロデオドライブでショッピングしてサンタモニカまでドライブ。どう?メジャーな観光地は網羅してると思うけど」
「それ、結構な弾丸ツアーだね」
「ホントはテーマパークも盛り込みたかったけど、零次くんはあんまり好きそうじゃないから。
なんなら、一緒に行ってあげてもいいよ」


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