ライム〜あの日の先へ
「今日も仕事でしょ?朝ごはん、つくるね」
「もう仕事はほとんど片付いた。今日は出社しない。鈴子と一日一緒にいるから。デートする?それとも一日中ベッドでイチャイチャする?」
「零次くんの行きたいところ行こうよ」
「鈴子と一緒なら、どこでもいい」

ほら、また。顔を赤らめてうれしそうにして。
食べちゃいたいくらい可愛いと零次は思う。

「私も、零次くんと一緒ならどこでもいい。一日中ベッドでも」
「お、大胆だな、鈴子。でも、一日中ベッドだと自制きかなくなりそうだから、やっぱ、外にでるか」
「自制が効かない?どういうこと?」
「……試してみる?」

甘い。鈴子はこんな甘い零次を知らなかった。


零次の魅力の一つは、感情を全身で表現する表裏のないところだ。大人らしく羽目を外したりはしないが、喜怒哀楽がわかりやすい。
仕事は真摯に取り組み、遊ぶときは目いっぱい遊ぶ。


一方で他者の機微をとらえる力にも秀でている。相手の感情がわずかに変化する瞬間を察知する能力がある。だからこそ、顧客の心をつかむことがうまいと一成も褒めていた。



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