ライム〜あの日の先へ
今日はレンタカーを借りてドライブだ。
ファーマーズマーケットに寄って新鮮なライムの果実を購入して、ハリウッド、ビバリーヒルズ、それからロデオドライブでショッピングしてサンタモニカへ。
雨が降ったり止んだりと天候はいまひとつだった。
零次の運転は上手い。安心して乗っていられる。
同級生たちの運転する車に乗ったこともあるが、やたらスピードを出したがったり、カーブでドリフト走行したりとか、命がいくつあっても足りないと思ったものだ。あまりの怖さに自分で運転することにも抵抗を感じ、鈴子は車の運転免許を持っていない。
車はただの移動手段。車に乗れなくてもほかに電車もバスもタクシーもある。
だけど。
こうして二人きりの空間で、時間を共有できるなんて、それがこんなに幸せを感じるなんて、知らなかった。
「鈴子、ほら」
ドライブインで休憩。
トイレに行った零次を車の中で待っていると、戻ってきた零次が飲み物の入ったカップを差し出した。
言わなかったけど、ちょうど喉が渇いたと思っていた。
「すごい、どうしてわかったの?」
「鈴子さっきからドリンクの売り場をチラチラ見てた」
「ありがと」