ライム〜あの日の先へ
「そんなことない。零次くんと一緒ならどこでも楽しいよ。こんなに人がいっぱいいたら、迷子になりそうで」
「鈴子が迷子になっても、俺、絶対見つけられる自信あるよ。 鈴子にはlimelightが当たっているように見えるから」
「ライムライト?ライムってこのライム?」
ファーマーズマーケットで買ったみずみずしい緑色のライムの果実を手にして鈴子が尋ねた。
「ううん。この場合は石灰のこと。ライムライトって、石灰を使った昔の舞台照明器具でさ、今で言うスポットライトみたいな感じ」
「零次くん、さすが物知りだね。ライムライトかぁ、初めて聞いた。って、やだ、私、そんなに目立ってる!?何か変??だから零次くんずっと笑ってるの!?」
「違う、それだけ俺にとって特別ってこと」
赤信号で車が止まる。ふと零次の目が鈴子を見た。
「やだ、そんなに見ないで。恥ずかしい」
鈴子は照れて真っ赤になって顔をそむけた。
「俺にも、たくさん鈴子の笑った顔を見せて?」
「……んっ」
零次はグイっと鈴子を抱き寄せ頬にチュッとキスを落とす。驚いた鈴子の手からライムがポトリと落ちて、助手席の足元へと転がった。
落ちた衝撃のせいか、車内にライムの爽やかな香りが立つ。
「零次くん、青になるよ」
「うん」
体が離れたことが寂しい。
鈴子は運転の邪魔にならない程度に、ハンドルを握る零次の左手にそっと触れた。
指先から伝わる温もりが愛おしい。
離れたくない気持ちがどんどん大きくなってしまう。
そしてライムの甘酸っぱい香りが思い出を運んできて、さらに切ないほど胸を締め付けた。
「鈴子が迷子になっても、俺、絶対見つけられる自信あるよ。 鈴子にはlimelightが当たっているように見えるから」
「ライムライト?ライムってこのライム?」
ファーマーズマーケットで買ったみずみずしい緑色のライムの果実を手にして鈴子が尋ねた。
「ううん。この場合は石灰のこと。ライムライトって、石灰を使った昔の舞台照明器具でさ、今で言うスポットライトみたいな感じ」
「零次くん、さすが物知りだね。ライムライトかぁ、初めて聞いた。って、やだ、私、そんなに目立ってる!?何か変??だから零次くんずっと笑ってるの!?」
「違う、それだけ俺にとって特別ってこと」
赤信号で車が止まる。ふと零次の目が鈴子を見た。
「やだ、そんなに見ないで。恥ずかしい」
鈴子は照れて真っ赤になって顔をそむけた。
「俺にも、たくさん鈴子の笑った顔を見せて?」
「……んっ」
零次はグイっと鈴子を抱き寄せ頬にチュッとキスを落とす。驚いた鈴子の手からライムがポトリと落ちて、助手席の足元へと転がった。
落ちた衝撃のせいか、車内にライムの爽やかな香りが立つ。
「零次くん、青になるよ」
「うん」
体が離れたことが寂しい。
鈴子は運転の邪魔にならない程度に、ハンドルを握る零次の左手にそっと触れた。
指先から伝わる温もりが愛おしい。
離れたくない気持ちがどんどん大きくなってしまう。
そしてライムの甘酸っぱい香りが思い出を運んできて、さらに切ないほど胸を締め付けた。