社長っ、このタクシーは譲れませんっ!



「この間、洗い立てのタオルで顔を拭いたら、魚の骨が顔に刺さったんですよね~」

「奇妙な体験をするやつだな……」

 お前の家の洗濯機はどうなってる? と将臣に言われる。

 千景たちは、こじんまりした寿司屋のこじんまりした個室にいた。

「カウンターじゃなくてよかったのか?」
と将臣が訊いてくる。

「社長はカウンターの方がいいですよね。
 すみません」

 千景はそう謝ったあとで、

「あ、そうだ。
 私、ここで食べますから。
 社長はカウンターの方でどうぞ」
とお手拭きで手を拭きながら言って、

「いや、なんで、別々だ……」
と言われる。
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