社長っ、このタクシーは譲れませんっ!
 


「与太郎が呪いの猫だったなんて……」

 千景の腕から降りた与太郎は、千景の周りをぐるぐる回っている。

 なんか回られて呪いをかけられているようだ、と思う千景に、将臣が言う。

「式はいつにしようか」

「……話飛びすぎですよ」

 千景はそう恨みがましく言ってみたが、実は将臣以上に決断の早い早百合があのあとすぐに言ったのだ。

「最後のフィンを見つけたのね、おめでとう。
 今からここまで指輪をとりに来る?

 来ないの?
 式場は早く決めなさいよ。

 特に希望がないのなら、幾つか付き合いのあるところがあるから、そこから選んで。

 リストは今から送るから」

 そこで早百合は後ろから話しかけてきた安美と話したあとで、
「安美も式に出たいそうよ。
 招待客リストに加えておいて」
と言う。

 いやいやいやっ。
 その方は真実さんの叔母さんですよねっ?

 我々が結婚したのでいいのですかっ。

 真実さんはっ?
と思ったが、別に安美が真実との結婚話を進めていたわけでもないので、どうでもいいようだった。
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