社長っ、このタクシーは譲れませんっ!
 これで、この間のドレス着ていくところができたわ、とか。

 なによ。
 新しいの見に行きましょうよ、とか二人で話し出し、ぶちっ、と通話は切られてしまった。

 そして、すぐに式場のリストが送られてくる。

「……仕事早いですね、早百合さん」

「あの人、うちのグループでも俺より上の役職の人だからな」

 将臣がスマホに入ってきたそのリストを見ながら言う。

「お前のスマホにも転送しとくぞ」

 将臣はメッセージに添付して、そのリストを転送しようとした。

 慌てて千景がスマホを開き、操作していると、将臣が言う。

「お前、なに、俺を削除しようとしてんだ……」

 何故わかった、と思いながら、千景は訴えた。
< 391 / 477 >

この作品をシェア

pagetop