社長っ、このタクシーは譲れませんっ!
「大丈夫だ、千景」

 将臣は千景の手をとる。

「お前を無理に襲ったりなどしない」

「社長……」

 将臣は信頼するに足る誠実そうな眼差しで千景を見つめると、深く頷き言った。

「そもそも、お前には、そういう意味での魅力はまったくない」

 千景は笑顔で、その言葉に答えた。

「あの、やっぱり、破談にしてください」





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