たとえ、この恋が罪だとしても

***

 翌日は合唱の練習日だった。

 寝不足で頭は痛く、仕事でも手痛いミスをしてしまい、上司に散々叱られ、今日は練習を休んでまっすぐ帰ろうと思っていた。

 でも部屋に戻っても悶々とするだけなのは目に見えていたし、歌えば少しだけでも気が晴れるかと期待して参加した。

 でも無駄だった。
 いつもなら歌っているうちに、心にたまった悩みも解消してスッキリした気分になるのに、今日はまったくだめだ。

 こんなことははじめてだった。
 まったく集中できないままレッスンが終わった。

 帰り支度をしていると待子さんに声をかけられた。

「このあと、半時間ほどお時間あるかしら? お嫁さんにお迎えを頼んでいるのだけど、彼女の車が故障してしまって、迎えに来るのが遅くなるんですって。もし文乃ちゃんがお付き合いして一緒に待っていてくれたら、嬉しいのだけど」

「はい。大丈夫ですよ。じゃあ、ロビーの椅子にかけて一緒にお迎えをお待ちしましょうか」

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