たとえ、この恋が罪だとしても
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翌日は合唱の練習日だった。
寝不足で頭は痛く、仕事でも手痛いミスをしてしまい、上司に散々叱られ、今日は練習を休んでまっすぐ帰ろうと思っていた。
でも部屋に戻っても悶々とするだけなのは目に見えていたし、歌えば少しだけでも気が晴れるかと期待して参加した。
でも無駄だった。
いつもなら歌っているうちに、心にたまった悩みも解消してスッキリした気分になるのに、今日はまったくだめだ。
こんなことははじめてだった。
まったく集中できないままレッスンが終わった。
帰り支度をしていると待子さんに声をかけられた。
「このあと、半時間ほどお時間あるかしら? お嫁さんにお迎えを頼んでいるのだけど、彼女の車が故障してしまって、迎えに来るのが遅くなるんですって。もし文乃ちゃんがお付き合いして一緒に待っていてくれたら、嬉しいのだけど」
「はい。大丈夫ですよ。じゃあ、ロビーの椅子にかけて一緒にお迎えをお待ちしましょうか」