たとえ、この恋が罪だとしても
「今、とても悩んでいることがあって……先月プロポーズをされたんですけれど、そのすぐあとで他の人のことを好きになってしまって……」

 待子さんは優しい笑顔を絶やさずに、相槌を打ちながらじっくり話を聞いてくれる。

「婚約者に悪いと思っても、どうしても自分の気持ちを抑えられなくて……わたしがいけないんです。それはわかっているんです。でも……」

 涙があふれて話が続けられなくなった。
 自分で思っていた以上にダメージを受けていたらしい。
 感情が高ぶって抑えが利かなくなった。

 ひっく、ひっくとしゃくりあげるわたしの背をゆっくりと撫でながら、今度は待子さんが話しはじめた。

「婚約者にあなたの本当の気持ちをお話ししたほうがいいか、それはあなたが決めなければいけないことね。でもね、ひとつだけ言えるのは、他の人はごまかせても自分の心はごまかせないってことかしら」

 自分の心はごまかせない……
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