たとえ、この恋が罪だとしても
 午前9時。撮影はスタートした。

 かなりの長丁場になるから覚悟して、と最初に釘を刺された。

「でも、疲れたら遠慮なく言っていいからね」
 安西さんはそう言って、それからカメラを構えた。
「よろしくお願いします」わたしも位置についた。

「はい、こっちに目線をくれる? そういいよ。次は斜め右を見て」

 先日の衣装合わせで一日中テスト撮影をして、ようやく写真を撮られることに慣れてきた。

 安西さんの言葉に反応して、間違えずにポーズをとることができるようになった。

 われながら格段の進歩だ。

 はじめて撮影してもらった日、緊張でがちがちのわたしの気持ちをほぐそうと、安西さんはとても軽い調子で話しかけてくれた。

 けれども今日は違った。
 すべてのカットが真剣勝負だという気迫が漲っている。

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