たとえ、この恋が罪だとしても
 初めて会った日のこと、スタジオを訪ねた日のこと、星空の下で抱きしめられたこと。

 そして……あの雨の日。
 薄暗がりにぼんやりと浮かんだ紗加さんの白い首筋、紗加さんを弄る安西さんの大きな手、吐息、おもわず漏れでたふたりの声……。

 記憶とともにあのときの痛みも鮮明によみがえる。

 どうして、あそこにいるのはわたしじゃないの……その想いに身体中が占領されていた。

 心身を焼き尽くす嫉妬心もよみがえる……

 いや、今もまだ……その場で見ているように、紗加さんの美しい肢体を組み敷いている安西さんの姿が脳裏に浮かび、きりきりと心を締めつける……

 つらくて、切なくて……どうにかなってしまいそうで。

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