たとえ、この恋が罪だとしても
「夕陽のほうを向いて胸の前で手を組んでみて。もう少し上で。そう、それでいい」

 カシャ、カシャというシャッター音さえ名残惜しい。
 もっと聞いていたい。
 わたしと安西さんをつなぐ唯一の紐帯(ちゅうたい)

 もうすぐで……あと、数カットで……

 「OK! 終了!」

 その声とともに、スタッフの拍手に包まれていた。

 とても素敵でした、とアシスタントの学生さんに感極まった調子で声をかけられ、ようやく我にかえった。

 
 終わった……


< 120 / 182 >

この作品をシェア

pagetop