たとえ、この恋が罪だとしても
 どれほどお互いが必要な存在であるかを知ってしまった今となっては、会えないのは半身がもがれるほどつらい。
 
 それでも、俊一さんを傷つけたのに、のうのうと自分だけ幸せになることはできないし、なってはいけない。

 もしそんなことをしたら、自分のことを一生許せなくなる。

 安西さんにもう一度会いたい……
 でも会ってしまえば、絶対に離れられなくなる。

 自分の弱さは、すでにこの1カ月半で証明済みだ。

 彼に会えない痛み、俊一さんを傷つけた痛み

――それは、弱さに甘んじたわたしに与えられた罰。

 流れ落ちそうになる涙をこらえようと、天を仰いだ。

 この痛みをしっかり受け止めることしか、今の自分にはできない。
 だから、安易に涙で流してしまいたくなかった。


 見上げた空は、美しすぎるほど、青く澄みきっていた。
< 141 / 182 >

この作品をシェア

pagetop