たとえ、この恋が罪だとしても
 そんな私生活の不調とは裏腹に、仕事はきわめて順調だった。

 MOGA誌に送った文乃の写真は、問題なく編集長に気に入られ、約束通り巻頭を飾った。

 それどころか、頬に涙が伝っている写真が『日出づる国のマドンナの涙』と表題をつけられて表紙にも使われた。

 ただ、名が知られているといっても海外の雑誌なので、日本では思ったほど騒がれなかった。

 ネットで一時期、「このモデルの正体は?」と話題にはなったが。

 ニューヨーク在住の日系三世のスーパーモデルとか母親が日本人の香港の大財閥の令嬢とか、いろいろな噂がまことしやかにささやかれた。

 でもネット上にはボウフラみたいに日々新しいニュースが湧いてでてくる。

 数日後にはすっかり話題にのぼらなくなった。
 
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