たとえ、この恋が罪だとしても
「藤沢センセー。どうかしたー?」
「あっ、もう、いきまーす」

 中から呼ばれて、門を閉めて建物に入ろうとした時。

 一瞬、あたりがまぶしい光で満たされた。

 通りに目を向けると、車が一台、対向車線を通り過ぎていくのが見えた。
 だが、その車は100mほど先でUターンして、こちらに向かってきた。

 徐々に速度を落とし、わたしの前で停止した。

 きっと、保護者のどなたかが忘れ物を取りに来たのだろうと、運転席側の扉に目を向けた。
 でも、降りてきたのは、保護者ではなく……
「文乃」と呼ぶ懐かしい声の持ち主だった。
 
 えっ?

< 161 / 182 >

この作品をシェア

pagetop