たとえ、この恋が罪だとしても
 にこやかな表情で面と向かって褒められたりすると、顔が赤くなる。
 その眼差しを受けとめきれず、思わず下を向いてしまう。

 わたしはまず一番、疑問に思っていたことを尋ねた。
 
「どうして、わたしの職場がわかったんですか?」
 
「それはね……」  
 安西さんは口角を少し上げて、意味ありげな笑いを浮かべた。

「おれが、超能力使えること、前に話してなかったっけ」 
「えっ?」 
「ほら、UFO見たって言っただろ。そのとき、不思議な力を授かったんだよ」 
「ほんとうに?」
  
 真に受けた私を見て、彼はいつかのように、吹き出した。

「もう、文乃は何でそんなに可愛いんだよ。そんなわけないだろ」
 やったねと、というような表情をしている。

 ああ、安西さんだ。変わってない。3年前のままだ。

 世間からあれほど注目されているひとなのに、彼の態度からはそんなことは微塵も感じられない。
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