たとえ、この恋が罪だとしても
通話が切れたあとも、電話を持ったまま、しばらくぼんやりしていた。
出張のことを気にしなかったわたしがもちろん悪い。
でも、明日がんばれよって、一言はげましてほしかった。
わたしが真剣に合唱に取り組んでいることを、俊一さんはわかってくれていると思っていた。
ふと、灰色の紗幕(しゃまく)が頭のなかを覆った。
もしも……結婚したあともこんなふうだったら?
俊一さんは多忙で疲れて寝るだけの毎日。
そしてわたしは知らない土地で、相談や気晴らしをする相手もなく、ひとりっきりで過ごすことになるのだろうか?
ううん、きっと疲れていて虫の居所が悪かったんだ。
いつもはあんなふうに話を遮ったりするひとじゃない。
気のせいだ。誰でも環境が変わるときは不安になるもの。
わかってほしいというのは、わたしのわがまま。
わたしの方こそ、彼の気持ちをもっと考えなきゃ。
そう思おうとしたけれど、一度浮かんだ不安の影はなかなか消えてくれそうになかった。
出張のことを気にしなかったわたしがもちろん悪い。
でも、明日がんばれよって、一言はげましてほしかった。
わたしが真剣に合唱に取り組んでいることを、俊一さんはわかってくれていると思っていた。
ふと、灰色の紗幕(しゃまく)が頭のなかを覆った。
もしも……結婚したあともこんなふうだったら?
俊一さんは多忙で疲れて寝るだけの毎日。
そしてわたしは知らない土地で、相談や気晴らしをする相手もなく、ひとりっきりで過ごすことになるのだろうか?
ううん、きっと疲れていて虫の居所が悪かったんだ。
いつもはあんなふうに話を遮ったりするひとじゃない。
気のせいだ。誰でも環境が変わるときは不安になるもの。
わかってほしいというのは、わたしのわがまま。
わたしの方こそ、彼の気持ちをもっと考えなきゃ。
そう思おうとしたけれど、一度浮かんだ不安の影はなかなか消えてくれそうになかった。