たとえ、この恋が罪だとしても
「あなたの好みを聞いてるんじゃないの。真面目にやんなさい」

 紗加に鼻を思いっきりひねられた。
 この女、Sっ気があるのか、こういう時には容赦なくおれを痛めつけて笑ってやがる。

 でもベッドでは、どっちかっていうとMっぽいんだけど……。

 執拗なおれの愛撫に反応して震える紗加の肢体や声や匂いでふいに頭がいっぱいになって、なんだか下半身がむずむずしてきた。

 おれは紗加に流し目をくれて、そっと手を握る。そして口もとに引き寄せて、しなやかな指に口づけする。

「……職場ではなし、でしょう……」
「この間の夜のこと思いだしちゃってさ。なあ、サヤ……したい」

 今度は紗加の手を固くなったおれの股間に導いた。
 情事の時だけ、おれは紗加を「サヤ」と呼ぶことにしている。
 どうもそれが紗加のスイッチになっているらしい。

「もう……仕方ない人ね」
< 19 / 182 >

この作品をシェア

pagetop