たとえ、この恋が罪だとしても
「美紀さん、ありがとうございます。でも大丈夫です。自分で何とかします」

「でも……」
「ご心配には及びません。みなさん、ごめんなさい。わたしのせいでお騒がせしてしまって」

「そんな、文乃ちゃんは何も悪くないわよ。あのへんな男が勝手なことを言っただけで」

 美紀さんはまだ納得がいっていないようだった。

「あたしには、そんな悪人には見えませんでしたよ。なかなかのハンサムさんだったしねえ」

 のんびりした声でそう言ったのは待子さんだ。

「それに、文乃ちゃん。素敵じゃない、モデルなんて。おやりなさいよ。あなた、とっても綺麗なお嬢さんなんだから」

「待子さん、無理ですよ。わたし、そんな、モデルなんてやったこともないし」

「人生、何事もチャレンジですよ」

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