たとえ、この恋が罪だとしても
「でも、あの、わたしモデルなんて無理です。だいたい写真撮られるの苦手で、いっつも変な顔になっちゃうし……」

 何が何でも断ろうと必死だった。

 でも目の前の人は余裕の表情で見つめてくる。
 わたしが断ることなんて、最初からお見通しって顔で。

 「とにかくさあ、せっかく来てくれたんだし、一度だけ撮ってみようよ。自分で言うのもなんだけど、結構レアな機会だよ。無料(ただ)でプロに写真撮ってもらうのは」

 そう言うと、今さっき返したばかりの時計に目をやった。

「2時半か。この後、時間はある? 4時までには終われるけど」
「よ、予定はないですけど……」

「今日撮ってみて、どうしてもいやだったら無理強いはしない。約束する」

 そう言うと、ふと思いついたように小指を立てて、わたしの目の前にかざした。

「ね、指切りしよう。そうしたら、嘘つけないだろう」

 
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