たとえ、この恋が罪だとしても
 飽きれてる? 子供っぽいやつって、と言いながらすこし首をかしげてこっちを見る。

 その仕草があまりにもチャーミングで、思わず小指を差し出していた。

 彼は嬉しそうな顔で自分の小指を絡めてきた。
「指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲ーます」

 指にぎゅっと力を込められたとき、気取られてしまうのではないかと思うほど、心臓が高鳴った。

「なつかしいね、指きりなんて。小学生以来かな。でも針千本飲ますっておそろしいよね、よく考えたら」

「……本当に、試すだけですね。断ってもいいんですね」

「うん。針千本、飲みたくないもん」

 また、この笑顔。

 本当にずるい人。

 自分が彼の術中に完全にはまっている自覚はあったけれど、わたしはどうしても抗うことができなかった。

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