たとえ、この恋が罪だとしても
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若い女性が鮮やかな手つきでメイクを施してくれた。
それにしてもすごい。
ほんの30分で別人に生まれ変わってしまったようだ。
「ちょっとしたテストだからメイクも簡単なものだけど、本番のときは本格的にするから安心していいわよ」
いいえ、今日のメイクも充分すごいです……と言おうとして振り向いて、息をのんだ。
鮮やかなアクアブルーのスーツに身を包んだ、気後れしてしまうほど美しい女性が部屋に入ってきたからだ。
「ふーん、化けたわねえ。さすが瀧人が惚れこんだだけあるわ」
値踏みするような視線で上から下まで眺められて、穴があったら入りたい気分になった。
いまさらながら足が震えてきた。