たとえ、この恋が罪だとしても

***

 若い女性が鮮やかな手つきでメイクを施してくれた。
 それにしてもすごい。
 ほんの30分で別人に生まれ変わってしまったようだ。
「ちょっとしたテストだからメイクも簡単なものだけど、本番のときは本格的にするから安心していいわよ」

 いいえ、今日のメイクも充分すごいです……と言おうとして振り向いて、息をのんだ。

 鮮やかなアクアブルーのスーツに身を包んだ、気後れしてしまうほど美しい女性が部屋に入ってきたからだ。

「ふーん、化けたわねえ。さすが瀧人が惚れこんだだけあるわ」

 値踏みするような視線で上から下まで眺められて、穴があったら入りたい気分になった。
 いまさらながら足が震えてきた。
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