たとえ、この恋が罪だとしても
「じゃ、あっちの部屋で着替えてきてくれる? 撮影始めるから。すぐ終わるからね。大丈夫、何も取って食うつもりじゃないからさ」

 よっぽど不安が顔に出ているのだろうか。安西さんにも同じことを言われてしまった。

 手渡されたのはシンプルな白いノースリーブの、丈の長いワンピース。

 特に抵抗なく着られるものだったので、少しほっとした。

「うわ、イメージ通りだ! いいよ、やっぱりおれの眼に狂いはなかった!」

 おずおずとスタジオに足を踏みいれると、安西さんが目を真ん丸にして大げさな口調で言う。

「じゃあ、ここに座って」白一色の背景のなかにぽつんと置かれたアンティークの椅子を指さして言った。

 目があけられないほどライトがまぶしい。

 さっきメイクしてくれた人が大きな銀色の板をわたしの横にかざしている。
 もうその状況だけでパニック状態だ。

「次はちょっと立って、椅子の背に手を乗せて。そうそう。いいよ」

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