たとえ、この恋が罪だとしても
 それから、どれくらいの間、撮影していたのだろう。
 たぶん、10分ぐらい。
 でもわたしにはもっと長く感じられた。

「はい、おしまい。お疲れ!」と言われ、まだ茫然としたまま着替えをすませ、スタジオに戻った。

「……やっぱり、わたしにはお受けできません。さっきも頭の中が真っ白で自分が何をしているかもよくわからない状態で……ごめんなさい」
 
わたしは安西さんにそう告げた。

「そっか……。うーん、残念だな。でも、断っていいって約束したもんな、しょうがないか」

 本当に残念そうな顔でそう言われた。そんな顔をされると……気持ちが少しぐらつく。

「もし、落ち着いて考えてみて、気が変わったら26日までに電話してくれる? その日までは待つから」
「……はい」
「気が変わってくれるといいんだけどなあ」

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