たとえ、この恋が罪だとしても
「うーん、口紅の色がどうも違う」
5着目のワインレッドのドレスを撮影しているとき、安西さんはライトのなかに入ってきて、わたしの目の前に立った。
「紗加、クレンジングと口紅持ってきて」
安西さんは化粧道具を受け取ると、ちょっとごめん、と言って、指先でわたしのあごをすくい上げた。
あっ、と思わず声を上げそうになって、すんでのところで飲みこんだ。
こんなところで声を上げたら変に思われてしまう。
口紅をカット綿でぬぐうと、安西さんは紅筆を使って私の唇に別の色の口紅を塗っていった。
わたしの全神経は、唇一点に集中した。
息がかかるほどの距離に安西さんがいる。
そう意識しただけで身体から力が抜けていきそうになった。
「やっぱり、こっちの色でしょう。紗加、メモっといてね、ワインレッドには11番のルージュ。ん、顔赤いよ。熱あるんじゃない?」
5着目のワインレッドのドレスを撮影しているとき、安西さんはライトのなかに入ってきて、わたしの目の前に立った。
「紗加、クレンジングと口紅持ってきて」
安西さんは化粧道具を受け取ると、ちょっとごめん、と言って、指先でわたしのあごをすくい上げた。
あっ、と思わず声を上げそうになって、すんでのところで飲みこんだ。
こんなところで声を上げたら変に思われてしまう。
口紅をカット綿でぬぐうと、安西さんは紅筆を使って私の唇に別の色の口紅を塗っていった。
わたしの全神経は、唇一点に集中した。
息がかかるほどの距離に安西さんがいる。
そう意識しただけで身体から力が抜けていきそうになった。
「やっぱり、こっちの色でしょう。紗加、メモっといてね、ワインレッドには11番のルージュ。ん、顔赤いよ。熱あるんじゃない?」