たとえ、この恋が罪だとしても
 ちりちりと後頭部が痛みだす。

 話を聞けば聞くほど、仕事のパートナーとしての、ふたりの親密な間柄がうらやましくなった。

 間違った感情を抱いているとわかっていながらも、心がふさいでいくのを止められない。

「だからあなたが引き受けてくれたと聞いて、わたしもほっとしたのよ。あなたに断られたら、これほどのチャンスを棒に振りそうな勢いだったから」

「そんなに重要なお仕事なんですか」

「ええ、安西の写真家としての人生がかかっていると言っても過言ではないわね」

「……それほど大切なお仕事なのに、モデルがわたしなんかで本当にいいんでしょうか」

 ずっと気にかかっていたので思い切って聞いた。
 紗加さんは何をいまさら、言いたげに少し眉をしかめた。

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